2010/05/21

UNITEC-1 打ち上げと、電波受信成功!

天候による延期を経て、21日早朝、あかつき、イカロス、UNITEC-1、3機の大学発CubeSATを搭載したH-2Aロケットが打上げに成功しました。

分離もスムーズに行われたようです。

UNITEC-1の愛称も「しんえん」に決定しました。
いよいよ半年前に制作したUOBCが、地球を離れていってしまいます。

UNITEC-1は、あかつきとイカロスの後を追いながら、金星ホーマン軌道をぐるぐるまわりつづける人工惑星になりました。



全国各地で地上局の整備が行われており、UNITEC-1製造に携わった学生も多く参加しています。
筆者も勝浦局の整備を担当しています。

このアンテナは、UNITEC-1の受信局の一つ、
JAXA勝浦宇宙通信所の広報用アンテナとして使用される18mパラボラです。

すでに引退しており、一般公開では操作を体験できるアンテナですが、アマチュア無線団体の方々がこのアンテナを用いて月面反射通信を行っていました。 普段の仕事はその方面のプロフェッショナルな方ばかりです。
今回の受信においても、設備の調整に尽力してくださり、学生はただただその操作を学ぶのに精一杯です。 

受信設備の一部

日本で観測可能な時間帯は、現在16時から午前1時までです。
21日16時35分ごろ 勝浦局と東北大局が、データを受信したのを皮切りに、UNITEC-1の電波が確認されました。
この時ですでに、UNITEC-1は数十万キロの彼方にありました。 猛スピードで地球から遠ざかっています。 それでも金星に接近するには、あと半年かかるのです。

まだ受信が安定しませんが、UNITEC-1の生存と、電波の受信が開始された記念すべき瞬間でした。
データを下ろせるよう。現在進行形で受信作業が続いています。

高玉研のUOBC等の情報については
UOBC"GENE"project http://sites.google.com/site/geneuobc/

  UNITEC-1の情報については
  UNITEC-1 site (UNISEC) http://www.unisec.jp/unitec-1/

2010/02/17

UNITEC-1 近況報告

ARLISSではないのですが、
今年度はUNITEC-1の搭載OBC開発コンペにも参加していました。

 まだあまり情報が無いので、UNITEC-1って何? という人も多いと思います。




(勝手に作成したものですが公式採用されました) 衛星の想像図です。 大きさは35センチ四方の立方体です。

 UNITEC-1は、大学宇宙工学コンソーシアム(UNISEC)に参加する大学、企業等が共同で開発を進める深宇宙探査機です。 金星探査機「あかつき」が搭載されるH-2A 17号機に、相乗り衛星として搭載されます。

 メインのサイト http://www.unisec.jp/unitec-1/

 JAXAプレスリリース http://www.jaxa.jp/press/2010/02/20100210_sac_h2a-f17_j.html

 この打上げには、他にも3台のキューブサット、ソーラーセイル実証衛星「イカロス」の搭載が予定されており、とても賑やかです。

 UNITEC-1は、「あかつき」、「イカロス」とともに、金星軌道に投入されます。 民間では史上初めて、地球軌道を離れる衛星となります。

 残念ながら、姿勢制御等が出来ず、パラボラアンテナを搭載できないため、遠方では数bps(Kbpsではありません、一秒あたり数ビットです)というとてつもなく遅い通信速度しか望めません。 開発期間もわずか1年。

 こうした制約がありますが、UNITEC-1ではユニークなミッションが行われます。

 交信にアマチュア無線の周波数を使用するため、民間のアマチュア無線ネットワークで衛星を追尾するという試みもその一つです。

 この他に、学生が衛星用コンピュータ「UOBC」を作って、地上での選考をパスした6台のモジュールを衛星に搭載するミッションがあります。

 個々のUOBCは、衛星の制御コンピューターから、UNITEC-1搭載のカメラが撮影した画像等のデータを受信するという仕事と、それらのデータを活かして、衛星の向きを計算するといった独自のミッションを行います。
 小型衛星がまだ投入されたことの無い地球軌道外で、安定して動くかどうかがポイントです。 そのための設計等を工夫したりしています。

高玉研の開発したUOBCも選考の結果、搭載されることが決定しました。 半年の間に最終調整や、必要な試験等を行い、現在は必要なことをすべて終えたところです。 「宇宙用」と謳うからにはものすごい装置かと思われるかもしれませんが、みな秋葉原で揃えた部品で出来ていて、基板も感光基板だったりして、かなり手作り感が漂っています・・・。

 名前は「GENE」(じーん)。 実行する進化計算ソフトウェアにちなんだものです。 GENEは放射線によるメモリのビット反転や、コンピュータの演算ミスにたいしてソフトウェアが耐性を持つかどうか実証するために開発されました。





 その他、同じく開発に参加している高知工科大学が率先して、メッセージキャンペーンを行っています。

http://www.ele.kochi-tech.ac.jp/UNITEC-1/form.html

 今月いっぱいまでですが、興味があったらメッセージを送ってみてください。大学別のUOBCの紹介もあります。
投稿された内容はメモリーカードに記録されたあと、衛星に搭載される予定です。

 UNITEC-1の衛星本体は、現在最終調整が行われており、とても忙しい状況です。 筆者も組み立てに参加しているので、 無事に打ち上げられるよう頑張ります。